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HTML5テクニカルノート

Sass: 使えるようにするには


SassはCSSと完全な互換性をもった拡張言語です。CSSにないさまざまな機能を使って、柔軟かつ効率的にスタイルが定められます。Rubyで実装されたオープンソースソフトウェアです。Sassで書いたファイルは、CSSに変換してHTMLドキュメントに用います。そのため、Sassを使えるようにするには少し準備が要ります。その手順をかいつまんでご説明しましょう。

Sass

01 Rubyのインストール

SassはRubyで実装されていますので、Rubyがインストールされていなければなりません。

01-01 OS X

MacのOS XにはすでにRubyが入っていますので、インストールは要りません。

01-02 Windows

Windowsは、RubyサイトのダウンロードページからRubyInstallerをダウンロードします。いくつかのバージョンがあり、64ビットかどうかも選ばなければなりません(図001)。バージョンをどれにしたらよいかわからない場合には、Ruby 2.2.Xが推奨されています(「WHICH VERSION TO DOWNLOAD?」参照)。

図001■RubyInstallerのダウンロードページ

図001

ダウンロードしたRubyInstallerを起動したら、指示にしたがってインストールを進めます。このとき、「インストール先とオプションの指定」で「Rubyの実行ファイルへ環境PATHを設定する」にチェックしてください(インストールの手順は「WindowsにRubyとSassをインストールする方法」の「RubyをWindowsにインストール」に細かく紹介されています)。

02 SassファイルからCSSを書き出す

SassファイルからCSSを書き出す環境のつくり方はふたつあります。ひとつは、アプリケーションを使うことです。開発環境に慣れていない人には始めやすいでしょう。もうひとつは、コマンドラインでSassをインストールして、CSSファイルに書き出します。

02-01 アプリケーションを使う

Sassサイトの「Install Sass」のページにいくつかのアプリケーションが紹介されています(図002)。その中のKoalaの使い方を次項03でご紹介します。

図002■「Install Sass」のページに紹介されているアプリケーション

図002

02-02 コマンドラインでインストールする

コマンドラインでインストールするには、コマンドラインツールを起ち上げます。OS Xならターミナル、Windowsではコマンドプロンプトなどです。SassはRubyのgemコマンドでインストールします。

Windows

gem install sass

OS Xでは管理者権限を求められるので、sudoコマンドを加えます(「ターミナルでのコマンドの使い方。(超初心者向け)」参照)。管理者パスワードを入力するとき、カーソルは動きませんのでご注意ください(「ターミナルで sudo コマンドを使うには空ではない管理者パスワードが必要」参照)。

OS X

sudo gem install sass

インストールが済んだら、念のためつぎのコマンドでSassのバージョンを確かめましょう。「Sass 3.4.24 (Selective Steve)」のようにバージョン情報が示されれば大丈夫です。


sass -v

Sassのファイルをコンパイルするには、コマンドラインツールでファイルを納めたディレクトリに切り替えます。そのうえで、つぎのようにsassコマンドで、もとのSassファイルとコンパイルしたCSSファイル名を入力してください。後述04で簡単なSassのファイルをコンパイルしてみます。

sass Sassファイル:CSSファイル

03 Koalaを使う

Koalaは直感的なGUI操作で、SassをCSSに変換(コンパイル)できるアプリケーションです。OS XやWindowsおよびLinuxのクロスプラットフォームに対応し、無償で使えるオープンソースです。そして、日本語のインターフェイスも備わっています。[Download]ボタンでダウンロードしてください。

図003■「Install Sass」のページに紹介されているアプリケーション

図003

ダウンロードしたKoalaのアプリケーションを起ち上げます。インターフェイスを日本語にするには、歯車のアイコンで[Settings](環境設定)を開いて、[Language]から選んでください(図001)。アプリケーションは一旦閉じて、改めて起動します。ただし、すべてのメニューや項目が日本語になるわけではありません。

図004■[Settings]で[Language]を選ぶ

図004

Koalaの使い方は、Sassのファイルが納められるプロジェクトのフォルダをアプリケーションのウィンドウにドロップするだけです(図005)。

図005■プロジェクトのフォルダをアプリケーションにドロップする

図005

フォルダにSassのファイル(拡張子SCSS)をつくって保存すれば、自動的にCSSファイルが同じフォルダと名前(拡張子CSS)で書き出されます(図006)。CSSファイル名の左のアイコンをクリックすれば、ファイル名や保存先は変えられます。

図006■フォルダ保存されたSassのファイル

図006

Sassのファイルの保存を検知して自動コンパイルするには、Koalaは起動したままにしてください。あとから手動でコンパイルするには、Sassのファイルをクリックして右カラムに設定を開きます。[コンパイル]のボタンを押せばCSSファイルが書き出されます。

図007■Sassファイルの設定

図007

04 簡単なSassのファイルをコンパイルしてみる

簡単なSassのファイルをCSSにコンパイルしてみましょう。つぎのような、拡張子SCSSのファイルをつくります(拡張子SASSは別構文で古く、今はもっぱらSCSSが使われます)。基本の構文はCSSと同じです。けれど、入れ子(ネスト)にまとめて書くことができます。

test.scss

#main {
	width: 600px;
	p {
		margin: 0;
		.new-item {
			color: #00f;
		}
	}
}

KoalaでSassのファイルのフォルダを設定してあれば、保存するだけでコンパイルが済みます(手動のコンパイルは前掲図007参照)。コマンドラインでコンパイルするには、コマンドラインツールでSCSSファイルのディレクトリに切り替えたうえで、つぎのsassコマンドを打ち込みます。


sass test.scss:test.css

つぎのようなCSSファイルが書き出されたでしょう。

test.css

#main {
  width: 600px; }
  #main p {
    margin: 0; }
    #main p .new-item {
      color: #00f; }

/*# sourceMappingURL=test.css.map */

コマンドラインでもKoalaのようにフォルダをまとめて監視して、自動的にコンパイルすることもできます。そのためには、sassコマンドにwatchオプションを加えます。さらに、styleオプションで、コンパイルするCSSの形式が変えられます。選べる形式はつぎの4つです(「Different Sass Output Styles」参照)。

SCSSファイルがフォルダ「sass」に納められ、CSSファイルを「css」に書き出すとしましょう。SCSSファイルの保存を監視してコンパイルするには、sassコマンドをつぎのように入力します。CSSファイルの形式はexpandedを選びました。


sass --watch sass:css --style expanded

sassフォルダに前掲SCSSファイル(test.scss)を保存すると、cssフォルダにはつぎのようなCSSファイル(test.css)が書き出されます。監視を終了するには、キーボードから[control]/[Ctrl] + [C]を押してください。

test.css

#main {
  width: 600px;
}
#main p {
  margin: 0;
}
#main p .new-item {
  color: #00f;
}

/*# sourceMappingURL=test.css.map */

Koalaでは、[環境設定]で[Sass]を開いて、[アウトプットスタイル]で形式が選べます(図008)。また、同梱されているSassのバージョンも確かめられます。

図008■[環境設定]の[Sass]で[アウトプットスタイル]が選べる

図007

作成者: 野中文雄
作成日: 2017年7月7日


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